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インドに対する円借款に関する書簡の交換

2013-03-26

  1.  本26日,東京において,岸田外務大臣と来日中のクルシード・インド外相(H.E. Mr.Salman Khurshid,External Affairs Minister of India)の立ち会いの下,我が方八木毅駐インド国大使と先方ワドゥワ駐日インド大使(H.E. Ms.Deepa Gopalan Wadhwa,Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of India)との間で総額2,204億6,100万円を限度とする額の円借款4件に関する書簡の交換が行われました。
  2. 対象案件の概要
    (1)貨物専用鉄道建設計画(フェーズ2)(第二期)(1,361億1,900万円)
    貨物専用鉄道建設計画は,インドにおいて急増する貨物輸送需要に対応するため,総延長約3,300kmの貨物専用鉄道(西回廊(デリー・ムンバイ間)及び東回廊(デリー・コルカタ間))を建設する計画です。このうち,我が国は,円借款による西回廊建設の支援にコミットしており,本件(フェーズ2・第二期)においては、西回廊(約1,500km)の一部区間(ダドリ~レワリ間及びヴァドダラ~ムンバイ間、計約550km)について,本体工事に係る円借款を供与するものです。貨物専用鉄道計画への協力は,日印首脳間で合意された日印協力の象徴的な案件であり,この計画を通じて物流ネットワークの拡充・効率化が図られることにより,インドの経済発展及び都市環境整備に貢献することが期待されます。
    (2)チェンナイ地下鉄建設計画(第三期)(486億9,100万円)
    インドのチェンナイ都市圏の人口は,1981年の450万人から2011年には870万人にまで増加しています。また,自動車数の伸びも著しいため,交通渋滞が深刻化し,これに伴う大気汚染対策も重要な課題となっています。我が国は,チェンナイ首都圏における地下鉄及び高架による大量高速輸送システム建設(約43.6km)のために,2008年度に第一期として217.51億円,2009年度に第二期として598.51億円の円借款を供与しており,この計画はその第三期にあたるものです。これにより,都市環境の改善と地域経済の一層の発展に寄与することが期待されます。
    (3)ビハール州国道整備計画(フェーズ2)(214億2,600万円)
    インドの最貧困州の一つである東部のビハールで州は,近年の経済成長に伴い車両台数が急増する一方で,同州の人口10万人当たりの道路延長は同国平均の3分の1以下の低い水準にあり,急増する道路輸送需要への対応を図るため,早急な道路網の整備が必要となっています。このため,我が国はフェーズ1として,国道83号線の拡幅事業に対して2011年度に229.03億円の円借款供与を決定しており,この計画はフェーズ2として国道82号線の4車線化及びバイパス整備を行うものです。これにより,交通利便性の向上による渋滞の抑制及び同州に対する投資環境整備に寄与することが期待されます。
    (4)西ベンガル州プルリア県上水道整備計画(142億2,500万円)
    インド東部西ベンガル州プルリア県は,同州州都コルカタから約300km離れた辺境地であるため,同州の中でも識字率や所得水準が低い後進地域であり,同県の上水道普及率は16.8%と同州平均の38.0%に比べて低い状態にあります。同県では,利用可能な表流水が限られているため住民の大半が地下水に依存する一方で,人口増加による水需要の増加を背景として,乾期は地下水位が低下し地下水の汲み上げが不可能となるなど慢性的な水不足が生じています。さらに,同県の一部地下水からは,WHOの飲料水ガイドライン値を超える天然由来のフッ素が確認されています。この計画で上水道施設の新設を行うことにより,安全な飲料水の提供を行うことが可能となり,地域住民の健康及び生活環境の改善に貢献することが期待されます。
  3. 供与条件
    (1)2.(1)について
    (ア)金  利:年0.20%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    (イ)償還期間:40年(10年の据置期間を含む。)
    (ウ)調達条件:日本タイド
    (2)2.(2),(3)及び(4)について
    (ア)金  利:年1.40%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    (イ)償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    (ウ)調達条件:一般アンタイド
  4.  これらの案件のうち(1)及び(2)については,我が国の2013年以降の気候変動対策に関する途上国支援の一環として実施するものです。我が国は,すべての国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に向け,引き続きインドと気候変動分野で協力していきます。

(参考)インドは,面積約329万平方キロメートル,人口12億1,000万人(2011年国勢調査暫定値),人口1人当たりのGNI(国民総所得)1,420米ドル(2011年,世銀)。



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