2012-10-30 JICA、インド政府向け円借款契約の調印─デリー首都圏の安定的な水道供給を支援
国際協力機構(JICA)は10月29日、インド政府との間で、「デリー上水道改善事業」を対象として289億7,500万円を限度とする円借款貸付契約に調印した。
本事業はインドの首都デリーにおいて、既存の上水道施設を改築・更新することにより漏水率を抜本的に改善し、24時間連続かつ均等な安定的給水サービスの提供を目的としている。本件にかかる貸付資金は上水道施設の改築・更新、上水道施設データに係るGISの改善、コンサルティング・サービス等に充当される。
人口1,675万人を超えるインドのデリー首都圏では、多くの日系企業(2011年10月時点で149社)が進出しているにもかかわらず、上水道施設の老朽化や不十分な維持管理等の要因により漏水率が高く、1日平均3時間という制限給水を余儀なくされている。また、浄水場の施設容量に基づいて系統区が設定されていないため、一人あたりの給水量が不均等になっている。想定されている高い人口増加率や経済発展に伴う上水使用量の増加を勘案すると、今後上水供給の逼迫度合いはより深刻化することが見込まれている。
このような状況でJICAは、2021年を目標としたデリー首都圏での24時間連続・均等給水を目指すマスタープラン策定を2009年より支援してきた。本事業の対象であるチャンドラワール浄水場系統区は、デリーの中でも行政機能が集中しており、かつ最も上水道施設が古い系統区であるため、マスタープランの中でも上水道施設の改築・更新につき、最も優先度の高い系統区に位置付けられており、早急な対応が必要とされている。なお、本事業では、有償資金協力によるハード面の整備支援に加え、地理情報システムによる上水道施設データ管理や、上水道施設の運営・維持管理体制の強化等のソフト面の支援において、日本の地方自治体の経験も活かした技術協力を実施する予定。
